抄録
【症例】73歳 男性。68歳時に過敏性肺臓炎、72歳時に肺結核(病型:l III 2)の既往を有し、外来にて経過観察中であった。その後画像検査にて空洞壁の不整な肥厚をきたし、アスペルギルス症の疑いで、イトラコナゾールを開始するも改善せず、精査・治療目的入院となった。身体所見では37.3℃の発熱と、聴診上両側胸部下方にfi ne cracklesを聴取した。血液血清学的検査では、白血球数は7,600/μlと正常範囲内、CRP 2.2 mg/dlと軽度上昇を認めた。また、β-Dグルカン<6.0 pg/ml、アスペルギルス抗原・抗体はともに陰性であった。KL-6 1,177 U/ml、IgE717 U/mlと上昇を認めるも、ムコールのRASTは陰性であった。糖尿病の合併はなく、入院時の胸部CTでは空洞の拡大化と、周囲へのGGAの広がりを認めた。CTガイド下にて採取した空洞内容液の培養から、Cunninghamella bertholletiae による感染症と診断した。アムテホリシンBリポソーム製剤による治療を4週間行うも改善が得られず、外科的切除を施行した。術後両肺にGGAが拡大するとともに呼吸状態が悪化し、術後1 ヶ月で死亡した。【考察】Cunninghamella bertholletiae による真菌感染症は海外では日和見感染症として注目されつつあるが、国内の報告は稀である。本症例は病的空間に同菌が付着、増殖する腐生性の病型にあたると考えられる。