抄録
演者等は、カンジダ症の原因菌として最も高頻度に分離されるCandida albicansの感染経路の特定および感染予防を目的とした高精度株レベル識別系の確立を進めてきた。これまでに、C. albicansのRPS/ALT領域の構造の多様性が、本菌種の特異的同定とタイピングに有効であること。さらに、RPS/ALT解析にマイクロサテライトのフラグメント解析を加えることにより、C. albicansを株レベルで識別する能力が高まることを報告してきた。本総会では、RPS/microsatellite解析によるC. albicansの株レベル識別能の評価と、genotype variationにつて報告する。日本、ブラジルおよびタイで分離された合計117株のC. albicansは、4種類のmicrosatellite markerにより104種類のgenotypeに区別され、さらにRPS/ALTタイプの解析を加えると112種類のgenotypeに区別(DP=0.999)された。これに対し、同一患者に由来するC. albicansでは、分離部位(常在部位と感染部位)に関係なく、同じgenotypeを示した。現在、C. albicansのgenotypeのvariationと安定性を調べるために、解析株の数を増やすと共に、同一患者から複数回分離したC. albicansのgenotype解析を進めており、これらの結果も合わせて報告したい。 (会員外共同研究者:足立秀禎、清水和栄)