日本平滑筋学会雑誌
Online ISSN : 1884-8788
Print ISSN : 0374-3527
ISSN-L : 0374-3527
ドンペリドンの胃腸.胆嚢運動および胃内容排出に対する効果
中山 沃祢屋 俊昭山里 晃弘高木 都水谷 雅年
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 15 巻 4 号 p. 327-335

詳細
抄録

ドンペリドンの胃運動および内容排出への効果および十二指腸, 胆嚢運動に対する効果を検討した.
1. ドンペリドン2mg/kgの静注によって, 胃運動高進効果がひきおこされた.この特徴は, 緊張は上昇せず, 振幅の著明な増大とそれに伴う頻数の若干の減少がおこることであった.
2. 胃内容の排出はドンペリドンによって促進することもあり, 抑制されることもあった.これには薬物投与前の幽門の緊張状態がドンペリドンの効果に強く関与していることが推察される.
3. 十二指腸, 胆嚢の運動もドンペリドンによつて高進した.
4. ドンペリドンの胃腸運動高進効果はアトロピン投与によって著しく減弱した.またテトロドトキシン投与後にも高進効果は消失しなかった.したがってドンペリドンは壁内のコリン性ニューロンあるいは胃腸筋のコリン性受容器を刺激するとともに, 一部は胃腸筋そのものを刺激すると想像される.しかし胆嚢に対しては筋への直接作用が強いと考えられる.
5. ドンペリドンの胃腸運動高進効果は, 迷走神経支配を断つと著しく抑制されるので, ドンペリドンは末梢性だけでなく中枢性にも運動高進作用を及ぼすと考えられる.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top