焼なまし状態のS10C鋼, 焼入焼もどしおよび焼なまし状態のS40C鋼の切欠き材はNiメッキを施した場合の疲労強度について追究し, 平滑材のそれと比較検討を行なった. それを要約すれば次のとおりである
(1) 平滑材にNiメッキあるいは切欠きを施すと鋼の疲労限は低下し, 素材強度が大きなものほどその低下率は大きくなる.
(2) 切欠き材にNiメッキを施すと鋼の疲労限はNiメッキを施さない場合に比べて, さらに低下する. この場合その低下率はS40C鋼では切欠き, Niメッキ個々の低下率の相乗積によっておよそ与えられるが, S10C鋼では両者の相乗積よりもさらに大きくなる.
(3) Niメッキによる疲労限の低下はNiメッキ層に生ずるき裂の影響が大きいようである.