NEUROSURGICAL EMERGENCY
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Print ISSN : 1342-6214
COVID‒19蔓延期の脳血栓回収症例の搬送はどうなっているか
今井 啓之重田 恵吾船崎 久瑠美今村 繭子武井 孝麿住吉 京子八ツ繁 寛早川 隆宣小山 裕司
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2022 年 27 巻 2 号 p. 103-108

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抄録

 当施設のある東京都多摩地区で,COVID‒19蔓延が与えた血栓回収症例搬送への影響を調べた.2015年1月1日から2020年4月6日をCOVID‒19蔓延期前,初回緊急事態宣言が発出された2020年4月7日から2021年5月31日をCOVID‒19蔓延期とし,救急隊覚知から現発時間,現発から病着時間,搬送距離,当施設のある北多摩西部医療圏以外からの搬送の比率,搬送元医療圏比率,90日後modified Rankin Scale(mRS)を比較した.対象期間の123例のうち蔓延期前91例,蔓延期32例であった.蔓延期前:蔓延期において,覚知現発中央値25分:26.5分(P=0.43),現発病着中央値11分:12分(P=0.20),搬送距離中央値3.1 km:3.6 km(P=0.38),医療圏外からの搬送比率8.8%:28.1%(P=0.01),90日後mRS中央値3:3(P=0.36)であった.

 COVID‒19蔓延後,二次医療圏を超えた圏域外からの搬送が増えたが,搬送時間の遅れや転帰の悪化にはつながらなかったことが示された.東京都の脳卒中救急搬送体制が機能したことと一次脳卒中センターが地理的に密接して分布していることがその理由と考えられた.

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© 2022 日本脳神経外科救急学会

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