NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
症候性頭蓋内主幹動脈狭窄症に対するステント留置術の治療成績
福島 大輔旭 雄士山本 治郎飯田 隆昭池田 清延山本 信孝寺園 明榮山 雄紀渕之上 裕近藤 康介周郷 延雄
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2023 年 28 巻 1 号 p. 6-14

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抄録

 現在,頭蓋内血管狭窄症に対する血管内治療のエビデンスはない.しかしながら積極的内科治療の治療成績も芳しくなく,臨床現場では症候性で進行性の頭蓋内狭窄病変に対して血管内治療が行われている.今回当院で頭蓋内主幹動脈狭窄症に対してステント留置術を行った症例の患者背景,治療内容,治療成績を後方視的に検討することで治療の安全性,有効性について評価した.対象は症候性頭蓋内血管狭窄に対して頭蓋内ステント留置術を行った連続26例とし,患者背景,治療成績を検討した.男性21例,女性5例,平均年齢67.2歳(52‒85),病変はIC 6例,M1 14例,M2 1例,VA 4例,BA 1例であった.全例で留置は成功し,狭窄率は平均88%から19%に改善した.術後7日以内の周術期合併症は無症候性くも膜下出血1例のみであった.3か月以内に50%以上の再狭窄をきたしたのは2例で認めたが,追加治療例は要さなかった.SAMMPRISでは血管内治療の有用性は証明されなかったが,WEAVEやWOVEN trialでは経験豊富な施設で,厳格な術中管理,控えめな血管拡張を行うことで比較的良好な結果が報告されている.当院の症候性頭蓋内血管狭窄に対するステント留置術の成績は良好であった.当院においても適応を厳格にしており,控えめな血管拡張,再狭窄や閉塞を考慮した定期的な画像検査を行うことで良好な治療成績が得られたと考えられる.

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© 2023 日本脳神経外科救急学会
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