2017 年 33 巻 6 号 p. 638-641
症例は32歳女性,妊娠23週であった.四肢遠位部の痺れ感,四肢脱力を自覚後に運動麻痺が進行して歩行困難となり第11病日当科入院となった.四肢腱反射消失,髄液検査で蛋白細胞解離を認め,神経伝導検査では遠位潜時の延長と伝導速度遅延と時間的分散がみられたことよりGuillain–Barré症候群(Guillain–Barré syndrome:GBS)と診断し免疫グロブリン静注療法を施行した.GBSの症状は改善を示したが,第22病日より麻痺性イレウスと下肢深部静脈血栓症を合併した.イレウス管留置と抗凝固療法により回復し第119病日に経膣分娩し第132病日自宅退院した.妊娠合併GBSでは妊娠に伴う生理的変化もありイレウスや下肢深部静脈血栓症など合併症の頻度も増えると考えられ注意が必要である.