2017 年 34 巻 1 号 p. 43-46
[目的]筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の病態として筋肉の萎縮と筋力低下が挙げられる.筋力評価においては徒手筋力検査法(Manual Muscle Testing:MMT)等が行われるが,微細な症状の変化をとらえるには不十分である.今回,Edaravone点滴およびリハビリテーションの複合治療において本疾患の上肢機能を客観的に数値化する評価方法を検討したので報告する.
[方法]対象はEdaravoneを6クール施行したALS患者5例のうち,簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function:STEF)が測定可能であった2例.Edaravone点滴1クールごとに,リハビリテーションを行い,各クールの点滴開始前後にSTEF,MMT,ALSFRS(ALS Functional Rating Scale)–R等にて本症例の上肢機能を評価した.
[結果]Edaravone点滴1クール目と6クール目の評価結果比較では,1例目は右81点,左83点より右97点,左97点に改善した.2例目も右26点,左64点より右32点,左72点に改善した.MMTやALSFRS–Rでは変化を認めなかった.
[結論]ALS患者における上肢機能評価方法についてSTEFを用いて検討したところ,MMTやALSのスコアリングでは検出できない改善をSTEFで評価することで数値化し把握することができた.