2017 年 34 巻 2 号 p. 112-116
目的:
服薬障害は不十分な内服状況を引き起こし,内服治療の効果判定を不正確にするとともに,服薬アドヒアランスを損なう.神経内科疾患患者の服薬困難の実態を調査し,その課題を検討した.
方法:
65歳以上の神経内科疾患患者(26施設)の服薬障害の状況を調査し,服薬の自立度,食事形態,嚥下機能,剤形との関係を検討した.服薬障害の定義は,薬の嚥下困難感,3回以上のみ込む動作,水やゼリーで何度も薬を流し込む,服薬時のむせ,口腔・咽頭・食道内残薬または残留感,薬の喀出,服薬後の口腔外・顔面への残薬のいずれかのある場合とし,摂食嚥下障害専門の医療職が服薬障害を判断した.また,口腔・咽頭内残薬と薬剤の付着性との関連を検討するため,アセテートフィルム板に置いた錠剤に水を滴下したあと板を垂直にし,薬剤の付着性を観察する実験を行った.
結果:
服薬障害のある患者は136名同定でき,服薬は27%が自立しており,平素の食事は34%が普通食,嚥下スクリーニングテストは33%で正常であった.口腔・咽頭内残薬は,剤形に関係なく全体の55%の患者で認められた.薬剤付着性実験では,糖衣錠が最も付着性が少なく,フィルム剤,口腔内崩壊錠,フィルムコート錠,裸錠では付着性が強く,また,同効の7種類の口腔内崩壊錠では,薬剤によって付着性と崩壊性が異なった.
結論:
服薬障害は服薬の自立度,平素の食事形態,嚥下スクリーニングテスト結果,剤形によらずおこり得ると考えられ,服薬管理を担う医療スタッフの臨床的観察と連携が必要である.