日本ニュージーランド学会誌
Online ISSN : 2432-2733
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小選挙区比例区併用制度と連立政権形成の政治 : ドイツとニュージーランドの比較
陶山 宣明
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2014 年 21 巻 p. 27-39

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抄録
ニュージーランドは1996年の選挙からドイツと同じ選挙制度を採用し、政党制は多党制となっている。どの政党も単独では安定過半数議席を取れないことが常になり、必然的に連立政権か少数党政府となる。連立政権が作られる政治に、以下の四つのパターンが認められる。(1)イデオロギー的に近い政党で連立する傾向があり、少しかけ離れた政党が連立するには特殊事情がある。(2)連立政権は辛うじて過半数を上回るように効率性が求められる。そうすれば、それぞれの政権与党の益の配分が高まるからである。(3)多くの選挙区で競合する政党とは連立しない。(4)政党が左から右へ並べられた際に、ちょうど真ん中のメジアンの位置にある議員の所属が選挙の全体的な左右の傾向を決める。その議員が二大政党のどちらかに属す場合、その政党が連立の中心になる。以上のことはドイツにもニュージーランドにも適用可能だが、ニュージーランドの場合は、閣外大臣を任命したり、正式な連立を避けて不信任決議を回避する際や金銭法案を通す際にのみ協力を確保したりして、緩やかな連合の維持も可能になっている。
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© 2014 日本ニュージーランド学会
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