抄録
外傷診療において,口腔外科医と救急医の連携は極めて重要です。1〜29歳の死亡原因の上位には外傷があり,高齢者では転倒による死亡者数が増加しています。外傷診療では,全身の評価が不可欠で,特に顔面外傷では複数の診療科が協力しなければなりません。患者の初期評価はJATEC (Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)の「ABCDEアプローチ」に基づき,気道,呼吸,循環,神経学的評価,環境の観察が行われ,迅速な対応が求められます。外傷のメカニズムを理解し,特に高齢者の転倒や交通事故に関して内因性疾患の確認が重要です。外傷診療には多くの専門職が関与し,チーム医療が不可欠です。口腔外科医は顎や歯の外傷を評価し,救急医は全体状態を把握する役割を果たします。両者の連携によって,外傷患者に質の高い医療を提供できることが期待されます。特に顔面外傷の場合,迅速かつ適切な治療が求められ,今後も連携を強化していく必要があります。