抄録
目的:カンジダはカテーテル関連の血流感染に頻繁に関連している.私達は,カンジダのスライム産生と抗真菌薬のバイオフィルム産生の抑制効果を検討した.深在性カンジダ症患者より分離されたCandida albicans, Candida glabrataおよびCandida parapsilosis株を用いてミカファンギン,アムホテリシンBおよびフルコナゾールのポリプロピレン製チユーブにおける検討を行った.C. parapsilosisはC. albicansとC. glabrataより,バイオフィルム産生性が強く認められた.今回の検討でフルコナゾールおよびアムホテリシンBはバイオフィルム産生の抑制を認めなかった.それに対してミカファンギンは今回検討したカンジダ属で,付着菌数の減少およびバイオフィルム産生の抑制が認められた.最も強い影響を及ぼした菌種はC. parapsilosisであった.今回のC. parapsilosisに対する検討結果はカンジダ感染症に対してミカファンギンの有効性を示唆した.