歯科薬物療法
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クリンダマイシンの歯科・口腔外科における相対的位置
加藤 久視佐々木 次郎
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1992 年 11 巻 2 号 p. 105-111

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抄録
クリンダマイシンは, アメリカ心臓協会のレジメンでも, また日本歯科医師会雑誌のレジメンでも, ペニシリンやセフェムにアレルギーの患者に対しては歯科処置時の予防投与に適しているとされている.しかし, 実際に歯性感染症の起炎菌や歯科処置にともなう一過性菌血症からの検出菌でMICを測定した最近の成績はなかった.今回, セブポドキシムプロキセチルの口腔外科領域の全国臨床試験で歯性感染症の閉鎖膿瘍から得られたサンプルを集中同定する際に, このサンプルの一部を頂いてクリンダマイシンのMICを測定した.その結果, 歯性感染症の起炎菌218株でMIC50≦0.05μg/ml, MIC80=0.1μg/ml, MIC90=0.1μg/ml, rangeは≦=0.05~>100μg/mlであった.また歯科処置にともなう一過性菌血症において, 予防投与の主な対象となる口腔レンサ球菌だけを取り上げると, MIC100が0.1μg/mlと低く, クリンダマイシンは内服投与時の血中濃度からみて予防投与として用いる薬剤の条件を備えている.
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© 日本歯科薬物療法学会
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