歯科薬物療法
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歯周病モデルとしての低カルシウム環境下培養MC3T3-E1細胞におけるc-fos mRNAの発現とプロテインキナーゼC活性の関係
出山 義昭松本 章吉村 善隆鈴木 邦明久田 洋
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1995 年 14 巻 1 号 p. 53-58

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抄録
骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を通常のαMEM培地 (対照群) ならびに低カルシウム培地 (低カルシウム群) で通法によりsubconfluenceまで培養し, 無血清培地と交換した後, 24時間さらに培養した。それらの細胞に, プロテインキナーゼC活性賦活物質である12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA) を添加し, それぞれ5, 10, 15, 30, 60分後に細胞を回収して全RNAを抽出してc-fos mRNAの発現をNortherm blot法を用いて分析を行った.その結果, 両群ともTPA添加後5分よりc-fos mRNAの発現の発現が認められ, 30分後にはその発現が最高となり, その後減少した.また, TPA添加後すべての時間において, 対照群と比較して低カルシウム群において, c-fos mRNAの発現の発現がより増大していることが示された。これらの事実から低カルシウム環境下に置かれるとMC3T3-E1細胞はプロテインキナーゼC活性に対する感受性が亢進し, TPA添加によるc-fos mRNAの発現が増大していることが示され, 低カルシウム環境という異常な環境に抗して, 正常機能を維持しようとする何らかの機構が作動していることが示唆された。これらの機構は, 歯槽骨形成抑制 (吸収亢進) を伴う歯周病における局所の骨芽細胞, 骨細胞, 破骨細胞においても生じている可能性が推測される。
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