体力科学
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負荷試験としての膝屈伸運動について循環器系の回復能に關する研究其の一
酒井 敏夫高橋 清井田 洋知山本 善三椎原 秀一
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1951 年 1 巻 2 号 p. 92-97

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抄録
吾々は, 體力檢査項目として取あげられた負荷試驗としての膝屈伸運動による脉搏回復曲線の, 種々これまで檢討せられて來た事象を詳細に考察すると共に, 進んで循環器系の回復能を見ようとして1・2の實驗を試みた。
1.成るべく實驗條件を一定するために, 實驗室に馴れた研究室員5名を選び, 測定時間, 測定室を吟味した。
2.同一被驗者でも, 測定日によつて生活歴の變化に應じて靜常時脉搏數, 及び膝屈伸運動20回負荷に於ける脉搏の回復能にも差異があり, 平常生活と思われない時竝びに強い精神的, 肉體的負荷があつた後には, 此の差異が著明である事を知つた。この樣なことは宮下の云う, 生活歌態によつて此の檢査法による結果が同一視する事は出來ないと云う結論に一致した。
3.平常時生活と許容出來る測定成績からも, 變動のある事を知つたので, 靜常時脉搏數及び膝屈伸運動20回負荷後の脉搏數の二つのCornpueutから相關關係を求め, 著明な相關性の存在を求める事が出來た。
4.一定の肉體負荷自轉車Ergometer (1分間100回荷重8kg) 10分, 30分をほどこした後の相關點が, 同一被驗者から求められた回歸直線から距る事が強度によつてその距りが比例し, 回復の時間も, 負荷が強大であれば延長し, 輕度であれ, ば連かなる事を知つた。
5.以上の結果から, 或程度, 肉體作業負荷後に於ける循環器系の回復能の測定方法として利用出來ると思われる。
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© 日本体力医学会
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