体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
接地足蹠面積の体力医学的研究
尾谷 良行
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 18 巻 1 号 p. 9-27

詳細
抄録

接地足蹠面積測定器を試作し, これを用いて小学生男子65名, 女子61名, 計126名, 及び某女子体育大学一般学生, 陸上競技部員, 体操競技部員, 約120名についての接地足蹠面積の計測を行い, その増減と体格, 体力との相互関係, 合宿中の日間変動, 練習前後の増減, 増減の成因に関する実験結果等について大要次の如き成績を得た。
1) 姿勢の相違による接地足蹠面積の変動について比較検討した結果, 直立姿勢に比較して前屈姿勢, 後屈姿勢での測定値は小さかった。従って測定の体位としては直立姿勢がのぞましいことが示唆された。
2) 小学生の接面積値と, 身長, 体重, と50m走, 垂直跳, 立巾跳の各記録との相関々係を求めた結果, 身長, 体重とは相関が認められたが, 50m走, 立幅跳, 垂直跳の記録とはほとんど相関が認められなかった。
3) 某女子体育大学運動部員の合宿中の練習前と練習後の接地足蹠面積を比較した場合, 練習後に於て増加の傾向を示した。
4) しかし合宿中の日間変動のパターンとしては起床直後を最小として, 漸次, 増加の傾向を示し寝床前で最大となる傾向があることを認めた。
5) 接地足蹠面積の増減を両足っま先立ち運動後の変化と片足つま先立ち運動後の他側足への影響で調べた結果, 共に運動後に減少傾向が認められた。
6) 20℃と35℃の水中に足を浸漬した後の接面の変化について調べた結果, 影響は認められたが一定の傾向は見られなかった。
7) 血液循環器系との関係を大腿部の圧迫帯による駆血によって接面の変化を調ぺた結果, 駆血によってある範囲内で面積の変動が見られた。
8) 接面と同時に脈拍数, 血圧を測定し, これらを運動負荷前後で比較した結果いずれも負荷後に増大もしくは増加してこれらの間の関連が推定できた。
9) 同様に運動負荷後の心電図, 足指尖脈波, と同時に接面を記録し, これらを分折した結果, 接面の増加と心電図, 特に脈波に於ての関連が認められた。
10) 運動負荷前後の足穹窿のレ線撮影を若干例について行ない比較検討をしたが本例においては少くとも接面の増減に直接に影響を及ぼす様な変化は見られなかった。

著者関連情報
© 日本体力医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top