体力科学
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上肢における運動単位の二, 三の特性について
倉田 博大森 俊夫
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1973 年 22 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

筋力調節の際の運動単位の活動の特性に検索を加えることを目的として, ヒトの上腕二頭筋の単一運動単位の放電を筋内埋入電極でとらえて肘関節屈曲張力と同時記録した。また, 一定張力の持続調節及び光刺激による単純反応時間を測定し, 2, 3検討を加えた。
1) τ-S関係におけるK, Tunitの間に中間的なMunitが区別された。
2) 15秒間隔で測定した相対的閾値は, 各unitが20分間にわたってそれぞれ特定値を示した。
3) 相対的閾値の平均値とその標準偏差との関係において, Tunitは相対的閾値のやや低いところを占め, K及びMunitは全ての範囲にわたって存在した。またこの関係図において利手のunitの勾配は非利手のものよりも大であった。しかし, 一定張力の持続調節の際の目標からの誤差の大きさには利腕, 非利腕における差異は認められなかった。
4) 単一スパイクの発現する頻度は25.0%~97.5%に及び, 被験者間に統計的に5%の危険率で有意差がみられた。そして, 光刺激による単純反応時間は, 単一スパイクの発現頻度が高い被験者の方が統計的に危険率1%で有意に小さかった。またTunitの方がKunitよりも単一スパイクの発現頻度が高い傾向がみられた。
擱筆に当り, 終始御懇篤なる御指導, 御校閲を賜わった東京慈恵会医科大学名取礼二教授に深甚の謝意を表し, また, 実験に種々示唆を与えられた東京学芸大学小野三嗣教授に深謝する。

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