抄録
体重約2809の雄性ラットを用いて, 高脂肪高蛋白食 (dextrin: 39%, milk casein: 29%, soyabean oi1: 24.7%etc.) , 標準食 (dextrin: 65%, milkcasein: 18%, soya bean oil: 9.7%etc.) ならびに低脂肪低蛋白食 (dextrin: 81.8%, nobo albumin: 0.3%, soya bean oil: 1.7% etc.) の3群にcholine chlorideおよび各種ビタミンを添加した計6群を60~80日間飼育し, 体重および体内中間代謝産物の変動について比較検討を行なった。
A.体重増加は, 低脂肪低蛋白食群で抑制された。高脂肪高蛋白食および標準食群の体重は, choline等添加によって抑制され, 低脂肪低蛋白食群では, さらに著明になった。
B.血糖値は, 3群ともcholine等添加で上昇し, 肝臓のglycogenは減少した。しかし, 肝臓のglycogenは, choline等添加の有無にかかわらず, 油 (おもに植物油) の少ない高糖質食ほど高値を示したが, 腓腹筋にはみられなかった。
C.脂質の含有量は, 一般に低脂肪低蛋白食群で低く, 肝臓を除けば, 標準食および高脂肪高蛋白食群との間に差はみられなかった。
D.choline等添加によって, 肝臓のtriglycerideおよびcholesterolが減少し, これを反映するかのように肝臓のFFA, あるいは血清のtriglyceride, FFAおよびcholesterolの増加がみられた。また, 肩甲骨間褐色脂肪ならびに副睾丸脂肪のtriglycerideがcholine等添加によって減少し, choline添加群の脂肪代謝過程が促進され, これらが血清中に遊離されてきているものと考えられる。