体力科学
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発育期における持久力トレーニング効果の縦断的研究
―ジュニア陸上優秀選手のAerobic Power―
村瀬 豊亀井 貞次小林 寛道松井 秀治
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1979 年 28 巻 3 号 p. 271-279

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抄録

優秀な陸上競技ジュニア選手11名を対象に, 中学・高校・大学期をとおして厳しい持久力トレーニングを継続することがaerobic powerの発達にどう影響するか, またaerobic powerと競技記録の関連性を明らかにするためにaerobic powerを縦断的に測定し, 次のような結果を得た。
(1) 大学一流選手として活躍中の6名 (グループI) のaerobic powerは14・15才においてすでに同年令の一般青少年の平均値より16~55%上まわっていた。 (3.03~4.00l/分) 57.2~72.2ml/kg分)
(2) グループIの被検者は高校期の3年間 (16~18才) に一般青少年より高いaerobic powerの増加を示した。 (一般青少年; 0.44l/分, 2.7ml/kg・分, グループI; 0.83l/分, 9.4ml/kg・分) (3) グループIの被検者のaerobic powerは18・19才でほぼ最大値に達する。18・19才までの最大値は5.00l/分 (被検者A) , 80.1ml/kg・分 (被検者C) であった。
(4) 18才以後トレーニングを中止した被検者5名 (グループII) のaerobic powerは中止後一般青少年の値の範囲にまで減少する傾向がみられた。減少の範囲は0.30~0.73l/分 (8~22%) であった。
(5) 全国高校選手権大会に出場したグループIの被検者は17才までにほぼ41/分, 70ml/kg・分の水準に達していた。
(6) 中学・高校期のジュニア選手の競技記録は絶対値のaerobic powerと密接な関係があった。またこの時期の競技記録はaerobic powerの増大と密接に関連しながら向上していく様子がみられた。
本研究の一部は昭和49・53年度の文部省科学研究補助金によるものであり, また昭和51年度東海地区体育学研究助成費によって行われたものである。

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