体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
女子器械体操選手の身体組成と運動諸機能へ及ぼす減量食の影響
北川 薫松岡 弘記
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 33 巻 3 号 p. 119-129

詳細
抄録

栄養士が作成した栄養素のバランスが適切と考えられる減量食を用いて女子器械体操選手が33日間にわたって減量した際の身体諸機能の変化を検討した。その結果, 次のことが明らかとなった。
1) 減量食摂取期間中の毎日行なった栄養摂取調査から1日当りの平均エネルギー摂取量を求めてみると1, 235kcalであり, その蛋白質, 脂肪, 炭水化物のエネルギー比はそれぞれ17.4%, 21.7%, 609%であった。また, ビタミン, ミネラル類はすべて栄養所要量を充足し, 減量食はほぼ指示どおりに達成された。
2) 体重減少量は平均で3.76kgであった。そのうち脂肪量が2.99kgでLBMが0.77kgであり, それは体重減少量の79.5%と20.5%に相当した。なお体重と脂肪量は有意な減少であった。
3) 全身持久性能力, 筋力, パワーは減量により影響をうけなかった。
4) RBC, Hb, Htの変化はいつれも正常範囲内であって貧血の徴候はみられなかった。また, BSは有意に減少 (P<0.Ol) し, 血清FFAは2.5倍に有意に増加 (P<0.01) し, 減量食の摂取による影響がうかがわれた。さらに, 血清TP, Alb, A/G比は有意な低下を示さず本研究の減量食の蛋白質量は妥当な量であると考えられた。
女子器械体操選手が体力を十分に維持し身体組成を修正するために栄養素のバランスが適切と考えられる献立を作成したが, 以上のようにその献立は効果的であったことが確認できた。また競技選手の体重調整には十分に栄養指導がなされた減量食が大切であることが確認された。

著者関連情報
© 日本体力医学会
次の記事
feedback
Top