体力科学
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体組成の変化量を推定するための皮脂厚法と体水分法の比較
小宮 秀一千綿 俊機
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1986 年 35 巻 1 号 p. 39-46

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抄録

本研究は, 10歳の肥満男子児童8名と肥満女子児童11名を対象に2年間の身体的トレーニング後における体組成の変化を推定する妥当性について皮脂厚法と体水分量法との比較から検討している.
結果は次のように要約できる.
1.LBMの変化量については, 皮脂厚法の方が体水分量法より大きな変化量を示し, 両方法による女子の変化量間にのみ有意な相関が認められた.
2.%Fatの変化量については, 皮脂厚法の方が大きな変化量を示し, 両方法の変化量間では女子にのみ有意な相関が認められた.
3.皮脂厚法では男子のトレーニング前におけるTBWの実験値とLBMの推定値間に有意な比例関係が認められず, トレーニング後には男女とも有意な比例関係が認められた.
4.皮脂厚法によって推定されたLBMに占めるTBWの割合は, LBMに対するTBWの割合とされている定数0.732よりかなり大きな値を示し, 定数に対する誤差, バラツキともに大きな値を示した.
5.女子では両方法による%Fatの変化量がともに各種体脂肪の変化量と有意に高い相関を示したが, 男子の皮脂厚法による%Fatの変化量と体内深部脂肪の変化量とは低い相関を示した.
6.男子では両方法による%Fatの変化量間に有意な相関は認められなかった.

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