体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
大腿四頭筋断面積における各種競技選手の特性
角田 直也金久 博昭福永 哲夫近藤 正勝池川 繁樹
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 35 巻 4 号 p. 192-199

詳細
抄録

本研究では, スポーツ選手89名 (短距離5名, 長距離10名, バレーボール8名, サッカー12名, ボート22名, スピードスケート16名, 相撲16名) と一般男子14名を対象に, 大腿四頭筋 (MQF) とそれを構成する大腿直筋 (RF) , 外側広筋 (VL) , 内側広筋 (VM) , 中間広筋 (VI) の各断面積における種目差および等尺性脚脚伸展力 (KES) との関係について検討し, 以下の結果を得た.
1.MQF断面積は, 相撲 (110.18cm2) が最も高く, ついでスピードスケート (104.09cm2) , バレーボール (99.36cm2) , ボート (96.30cm2) , サッカー (89.92cm2) , 短距離 (86.34cm2) の順であり, 長距離 (73.86cm2) が最も低い値を示した.短距離および長距離を除く他の種目は, 一般人 (75.32cm2) より有意に高い値であった.
2.MQFを構成する各断面積は, 相撲, バレーボール, スピードスケートが高い値を示し, 短距離と長距離は, 一般人とほぼ同様な値であった.
3.大腿部の全筋断面積に対するMQF断面積の比率は, バレーボール (58.66%) およびボート (57.53%) が高く, サッカー (53.81%) が低い値を示した.しかし, MQF断面積比率は, いずれの種目も一般人との間に有意な差を示さなかった.
4.MQF断面積に対する各構成筋群の断面積比率では, サッカーがRFで, スピードスケートがVLで, それぞれ一般人および他の種目より有意に高く, 種目によって特異的に発達する筋が認められた.
5.MQF断面積とKESの間には, 0.1%水準で有意な相関関係が認められた.またMQFを構成する各断面積も, KESと0.1%水準で, 有意な相関関係にあり, 断面積が大きな筋ほど, 相関係係数が高くなる傾向が認められた.
6.MQF断面積当りのKESは, サッカー (8.97N/cm2) が最も高く, バレーボール (7.10N/cm2) が最も低い値を示した.サッカーのMQF断面積当りのKESは, 一般人 (8.06N/cm2) および長距離 (7.31N/cm2) より5%水準で, バレーポールと相 (7.50N/cm2) より1%水準で, それぞれ有意に高い値であった.サッカーを除く他の種目間の値には, 有意な差は認められなかった.

著者関連情報
© 日本体力医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top