抄録
同一強度の労働を日常行なっている工場従業員を対象にし, ハンドボール選手群と非運動対照群とに分けて血清脂質の変動について比較検討した.
ハンドボール選手群においてはTGの減少, HDL-Chの上昇, 亜分画ではHDL2-Chの上昇がみられ, アポ蛋白ではアポA-Iが有意に高値を示した.またLCAT活性もハンドボール選手群で高かった.さらに動脈硬化の指標としてのアポB/アポA-I比をみるとハンドボール選手群でより低値を示した.以上, ハンドボール選手では, 血清脂質の中でいわゆる抗動脈硬化作用を有するとされるリボ蛋白画分とアポ蛋白画分が高値を示していることが確認された.また動脈硬化指数の低下からも長期にわたるハンドボール運動が動脈硬化性疾患の予防, 発症率の減少に結びつく効果を持つと考えられた.