体力科学
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水球競技のインターバルにおけるActive restが血中乳酸濃度の減少に及ぼす効果
高橋 淳一郎青木 純一郎
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1998 年 47 巻 2 号 p. 173-180

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抄録
本研究の目的は関東学生水球1部リーグに所属する男子水球選手6名を被験者として, 水球のインターバル中に動的および静的な休息方法をとらせ, さらにインターバルを空気呼吸下と高酸素気吸入下で行わせることにより, 競技中に生じた血中乳酸増加に対して最も高い減少率を示す休息方法を検討することであった.
インターバルにおける休息方法は, 椅座位安静 (Rest) , 平泳ぎのその場キック (Kick) および背泳ぎ (Swim) とし, いずれも空気呼吸および60%酸素気吸入下で行った.血中乳酸濃度は運動前, ピリオド終了直後およびインターバル終了直後に指尖血を採取して分析し, ピリオド終了後の血中乳酸濃度とインターバル終了後の血中乳酸濃度の差をピリオド終了後の血中乳酸濃度と運動前の血中乳酸濃度との差で除した値を乳酸減少率 (%) とした.
乳酸減少率は空気呼吸下において, Swim, Kick, Restの順に高くなり, Swimは他の2種類の休息方法より有意に高い乳酸減少率を示した.一方, 60%酸素気吸入下においても同様にSwim, Kick, Restの順に高くなる傾向を示し, SwimはRestより有意に高い乳酸減少率を示した.また, 60%酸素気吸入は, 空気呼吸下の乳酸減少率に比べて有意な減少効果を示さなかった.
以上の結果から, 水球の2分間という短いインターバルにおいて, 全身を使ったActive restが血中乳酸の減少に効果的であるが, 60%酸素吸入は血中乳酸濃度の減少を有意に促進するものではないことが示唆された.
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© 日本体力医学会
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