体力科学
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持久性トレーニングによるラットの骨格筋ミオグロビン濃度の変化
―運動強度, 時間, 期間の影響―
増田 和実狩野 豊中野 裕史稲木 光晴勝田 茂
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1998 年 47 巻 5 号 p. 561-571

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抄録
本研究では, ラットを対象に持久性ランニングトレーニングを処方し, ラットの骨格筋Mb濃度の運動強度, 運動時間の影響および経時的変化の現象を明らかにすることを目的とし, さらにミトコンドリアの酸化系酵素活性の変化との比較を行った.得られた結果は以下の通りである.
1) 腓腹筋表層部を除く全ての筋 (ヒラメ筋, 腓腹筋深層部, 足底筋) において, 運動強度依存的にMb濃度が上昇した (運動強度の検討) .
2) CS活性は, ヒラメ筋, 腓腹筋深層部では低強度運動から, 足底筋や腓腹筋表層部ではより高い運動強度によって上昇した (運動強度の検討) .
3) 腓腹筋表層部を除く筋 (部位) においてMb濃度およびCS活性が運動時間の増加に伴って漸増し, 90分の運動時間によって十分な適応が得られた (運動時間の影響) .
4) Mb濃度はCS活性と比較して最大適応を得るためのトレーニング期間が長い傾向であった (期間の検討) .
以上のことから, ラットに持久性トレーニングを行わせた場合, (1) 運動強度の違いによるMbの変化は強度依存的に生じ, その様相はミトコンドリア酵素活性とは異なること, (2) Mb濃度の最大の増加率を得るためには, 一回に90分の運動時間が必要であること, (3) Mb濃度の増加には, ミトコンドリア酵素活性の増加と比較してより長い期間が必要であることが明らかになった.
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© 日本体力医学会
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