体力科学
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最大随意運動時の筋活動と関節角度との関係
大西 秀明八木 了大山 峰生伊橋 光二半田 康延
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1999 年 48 巻 4 号 p. 485-492

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抄録

本研究の目的は, 等速性最大膝屈曲運動時におけるハムストリングス4筋の筋活動と膝関節角度との関係を明らかにすることであった.対象は健常男性10名であった.運動課題は角速度30度/secの等速性最大膝屈曲運動とし, 膝関節0度から120度屈曲位の範囲を行わせた.筋電図は半腱様筋, 半膜様筋, 大腿二頭筋長頭および大腿二頭筋短頭の4筋を対象として, 双極性ワイヤー電極を用いて導出し, さらに膝関節15度毎の筋電図積分値を求めた.また, 同一内容の実験を3ケ月の期間をあけて同じ被験者に再度行うことにより得られた結果の信頼性を確認した.その結果, 膝関節屈曲トルクは15度から45度屈曲位で最も大きかった.半腱様筋, 半膜様筋および大腿二頭筋短頭の筋電図積分値は, 2回の測定とも膝関節屈曲角度の増大と共に増加し, 膝関節90度から105度屈曲位で最も大きな値を示した.一方, 大腿二頭筋長頭の筋電図積分値は, 2回の測定とも膝関節15度から30度屈曲位で最も高い値を示し, その後, 膝関節屈曲角度の増大と共に減少した.これらのことは, 最大随意運動中の主動作筋の筋活動は, 関節角度に影響されて変化することを示しており, 随意運動中の発揮トルクは, たとえ最大運動時であっても筋節長やモーメントアームの影響だけでなく, 主動作筋の活動状態 (運動単位の発火および動員) , すなわち神経系の要因に影響されていることを示唆していると考えられた.

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© 日本体力医学会
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