体力科学
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日本人プロ野球選手の体格の推移 (1950~2002)
中山 悌一
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2004 年 53 巻 4 号 p. 443-453

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抄録

本研究は, 1950年から2002年までの日本人プロ野球選手の身長と体重が, 戦後飛躍的に向上した一般人の体格と比較して如何に推移してきたか, さらに米大リーグ選手との体格の差は縮まりつつあるのかを明らかにする事を目的として遂行され以下の結果を得た.
1.1950年の日本人プロ野球選手の平均身長は170.7cmであったが, 2002年には平均180.1cmまで高くなり53年間で9.4cm (5.5%) の成長を見せた.1950年の日本人プロ野球選手の平均体重は65.0kgであったが, 2002年には79.8kgとなり53年間で14.8kg (22.8%) の増加を認めた.さらに1950年の日本人プロ野球選手の平均BMIは22.3であったがその後徐々に大きくなり2002年には24.6となり, 日本のプロ野球選手ががっちりとした体格へと推移していることが明らかとなった.
2.身長のポジション別推移では常に投手が一番高かった.この理由として投手は身長が高い方が投球に有利であるいうポジション的特異性に由来しているものと考えられる.体重のポジション別推移は, 1969年から現在まで捕手が一番重くなっている.この結果は捕手は移動距離が少なく, ポジション的役割としてホームベースを死守する役目を担っているために体重が重い方が有利である事に起因するためと推察される.
3.一般人の体格は, 戦後急激に向上したことが数多く報告されているが, 日本人プロ野球選手の体格も同様に大きくなり, 身長は日本人一般男子 (24歳) より5.5%から8.6%の範囲で常に高く, 同様1に体重も日本人一般男子 (24歳) より15.9%から27.3%の範囲で常に重かった.このことより, 日本人プロ野球選手は, 同年齢の日本人一般男子より体格的に非常に優れた選手たちによって構成されていることが明らかとなった.日本人プロ野球選手と日本人一般男子 (24歳) の身長と体重の差は, 1950年代に急激に広がったが1960年以降はその差も小さくなる傾向にある.
4.日本人プロ野球選手と米大リーグ選手の体格を比較してみると, 1950年代の身長差は11.4cmであったが, 2000年代の身長差は4.9cmとなった.同様に1950年代の体重差は17.7kgであったが, 2000年代の体重差は13.1kgまで縮まり, 日本人プロ野球選手と米大リーグ選手の体格の差は, 確実に縮まりつつあることが確認できた.

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