抄録
本研究は, 10m/min, 20m/min, 30m/minの速度で8週間の走トレーニング (30分/日, 5日/週) を行わせたラットと, 同速度で一過性走運動 (30分間) を行わせたラットの足底筋とヒラメ筋のHSP72発現量, HSP60発現量を測定し, 走速度の異なるトレーニングによってHSP発現量が異なるかどうかについて検討した.
その結果, 一過性運動群では足底筋とヒラメ筋のHSP72は, 速度に関係なく増加した.また, HSP60は足底筋では速度に関係なく増加したものの, ヒラメ筋では変化が認められなかった.一方, 持久的トレーニング群では, 足底筋とヒラメ筋のHSP72とHSP60は, トレーニング速度が最も速い30m/分群で高い値を示した.これらの結果は, 持久的トレーニングに伴うHSPの発現は, 一過性運動とは異なり, 筋の種類にかかわらず高強度の走トレーニングのみで発現が増加することを示す.