日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ラン藻Synechococcus PCC 7942のシステイン欠失型CP12の生理機能
*宮崎 崇佐伯 佳浩田茂井 政宏重岡 成
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p. 153

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抄録
フェレドキシン/チオレドキシン系を介した活性調節を受けないラン藻カルビン回路の調節因子としてCP12に着目し、その分子特性を明らかにしてきた。その結果、高等植物など他の生物由来のCP12にはPRKおよびGAPDHとの結合に関与するループ構造形成に必要なシステイン残基が4つ存在するが、Synechococcus PCC 7942 CP12にはN末端側の2つが欠失していた。本研究では、この様な特異な構造のS. 7942 CP12の細胞内での生理機能の解明を目的とした。
S. 7942細胞から100 μM NAD+存在下で粗酵素を調製するとPRK/CP12/GAPDH複合体を形成していた。この複合体の解離・会合に関与すると考えられる細胞内の[NADP(H)]と[NAD(H)]の濃度比率を測定した結果、明条件下では6.5 : 1、暗条件下では3.8 : 1と有意に変化していた。現在CP12ポリクローナル抗体を用いてこの濃度条件下におけるPRK、CP12、GAPDHの存在形態を確認している。また、S. 7942 複合体における結合様式を明らかにするために、S. 7942 CP12のC末端側に存在するCys残基をSerに変異させたCP12変異体を作成している。さらに、S. 7942ゲノムDNA上のCP12遺伝子を全て破壊した欠損株を作成し、生育および炭素代謝におよぼす影響を検討している。
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© 2003 日本植物生理学会
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