日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

グルタチオンレドックス制御による根の分化
*逸見 健司出村 拓福田 裕穂岩渕 雅樹小川 健一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 163

詳細
抄録
我々はヒャクニチソウの管状要素分化系において一過的なGSSGの蓄積が管状要素の分化に必要であることを示してきており、さらなる解析を行なった。RT-PCR法により分化誘導時におけるグルタチオン代謝系遺伝子群の発現消長を調べたところ、二次細胞壁肥厚の時期までのデヒドロアスコルビン酸レダクターゼ遺伝子の一過的な発現上昇およびグルタチオンレダクターゼ(GR)遺伝子の発現低下が見られた。これらのことから両遺伝子の協調的な発現調節によるGSSGの蓄積が示唆された。GSSGの蓄積が植物体レベルでの分化に必要であるのかを調べるために、ヒャクニチソウ由来のGR遺伝子を高発現する形質転換シロイヌナズナを作出した。形質転換体では根の形成が抑制され、GSSGの蓄積は管状要素形成と同様に根の形成にも必要であることが示唆された。グルタチオンは細胞分裂制御に必要であることが示されているが、我々の結果からグルタチオンは細胞分化も制御していることが示唆された。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top