抄録
塩害、乾燥害、冷害といった環境ストレスは植物の生育を妨げる主要因の1つである。
これらを解決することは、差し迫る食糧問題の解決を始め、地球環境の改善へ向けて多大なる効果をもたらす。本研究者らは、特に樹木でのマルチストレス耐性付与を目的として研究を進めている。
本研究者は、昨年度の本年会において、モデル植物におけるストレス耐性機構の制御因子を活用することにより、ユーカリのストレス耐性能力を向上させることに成功したことを報告した(日本植物生理学会2002年度年会要旨集;1pL16)。しかしながら、マルチストレス耐性樹木として実際に活用するためには、さらに改良を加える必要があり、特には目的とする制御因子の効果的な発現を行うために、樹木由来のストレス応答機構を解析し、これを活用することが重要であるとの結論に至った。
本研究者らは、ユーカリを材料に用い、塩ストレスを与えた場合の遺伝子発現について解析を行った。さらに、塩ストレスにより迅速かつ強く発現する遺伝子について、これらのプロモーター領域とレポーター遺伝子との融合遺伝子を構築し、ユーカリに導入した。
本報告では、これらの結果とともに、継続して進めているストレス耐性ユーカリの開発状況についても併せて報告する。
尚、本研究は生研機構、新事業創出研究開発事業からの支援を受けて行っている。