抄録
アサガオのほとんどの自然突然変異はCACAT スパーファミリーに分類されるTpn1類縁のトランスポゾンによる挿入変異であることが知られている。我々はアントシアニンの生合成に関わる酵素群の一つアントシアニジン合成酵素(ANS)遺伝子内にTpn1類縁因子、Tpn8もしくはTpn9、が挿入した8つ変異系統のゲノム構造を解析し、2種類のANS遺伝子の挿入変異に分けられることを明らかにした。Tpn9が2つのエキソンから成るANS遺伝子のイントロン内に挿入した1系統は、白色地にTpn9の体細胞脱離による有色のキメラ斑の花を咲かる。この変異体のANS遺伝子の転写は挿入Tpn9因子内部で終結していた。残りの7系統の変異体は全てTpn8がANS遺伝子のプロモーター領域の同一部位に挿入しており、そのためANS遺伝子の発現が抑制されていた。しかしながら、これら7変異系統の花色は純白色の系統から花弁全体に薄い着色が観察される系統まで様々で、1系統では白色の花弁の縁だが薄く着色していた。これらANS遺伝子領域に生じたTpn1類縁のトランスポゾンの挿入変異と花色の関係について考察を行う予定である。