日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナIPPイソメラーゼの発現調節によるイソプレノイド生合成への影響
*岡田 憲典笠原 博幸山口 信次郎神谷 勇治
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p. 542

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抄録
植物のイソプレノイドの生合成中間体であるイソペンテニル二リン酸(IPP)とジメチルアリル二リン酸(DMAPP)は、メバロン酸(MVA)経路とメチルエリスリトールリン酸(MEP)経路により生合成される。細胞質に存在するMVA経路では、DMAPPはIPPイソメラーゼによりIPPから合成される一方、色素体内のMEP経路では、IPPを経由することなく直接DMAPPが合成されることが最近示された。したがって本酵素が色素体内のイソプレノイド生合成で果たす役割については不明である。シロイヌナズナには、IPPイソメラーゼをコードすると予想される遺伝子が二つ存在する(AtIPP1, AtIPP2)。AtIPP1, AtIPP2遺伝子の全長cDNAをGFPと融合し、形質転換植物における局在性を観察したところ、それぞれ色素体とミトコンドリアに局在していた。また、AtIPP1AtIPP2よりもmRNAでの発現レベルが低いことから、色素体内でのIPPイソメラーゼ活性は一般的に低いものと予想された。そこでAtIPP2に色素体移行配列を付加し、色素体特異的に本酵素が高発現する形質転換植物を作成した。現在、これら形質転換体における色素体およびミトコンドリア特異的なイソプレノイドの含量変化について解析を行っている。
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© 2003 日本植物生理学会
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