日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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イネの塩ストレス感受性に対する窒素栄養の影響とポリアミン代謝
*山本 昭洋沈 利星藤原 伸介米山 忠克臼井 健二
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p. 566

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抄録
植物の塩ストレス感受性は様々な生理活性物質の処理により変化することが知られており、その変化は植物の必須元素によってももたらされる。また、細胞内に多量に含まれる低分子塩基性生理活性物質ポリアミンは、様々なストレス条件下で変化し、植物のストレス感受性との関連が示唆されている。そこで本研究ではイネにおける窒素栄養条件と塩ストレス感受性の関係ならびにポリアミン代謝との関係を明らかにすることを目的に行った。
イネの新鮮重と葉身部のクロロフィル蛍光に対する塩ストレスの影響を調べたところ、通常の半分の窒素濃度で生育させたイネが他の濃度で生育させたイネよりも塩ストレスに対する感受性が低いことが示された。異なる窒素栄養条件下におけるイネ葉身部のポリアミン含有量を比較すると、窒素濃度に依存してポリアミン含有量が増加し、特にプトレシン含有量の変化が大きかった。また、塩ストレス条件下では窒素栄養条件によりポリアミンのうちプトレシンとスペルミジン含有量の変化が異なっていた。以上のことから、窒素栄養条件はイネの塩ストレス感受性に影響をもたらし、ポリアミン代謝は塩ストレス条件下で蓄積するアンモニアの解毒などに関与していると考えられた。
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© 2003 日本植物生理学会
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