抄録
ハクサイ(Brassica rapa)は、同じアブラナ科のキャベツやダイコンと並んでわが国の主要な野菜の一つであり、その品質や生産効率の向上が育種上の重要課題とされている。しかし、一般社会の強い風当たりから、遺伝子組換え技術をはじめとするバイオテクノロジーの利用は敬遠されがちな状況である。そこで我々は、これらの技術によらない新しいハクサイ育種技術を開発することを目標に、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)マーカーによる効率的な連鎖地図の作成とハクサイ有用形質遺伝子座のQTL解析を進めている。
我々は、いくつかの形質を異にするハクサイ親系統に対して、市販のランダムプライマー36種類を組み合わせて用い、合計666通りのRAPD多型分析を試みた。その結果、計100前後のRAPDマーカーを再現性良く検出することができ、それらを新規に連鎖地図上にマッピングすることができた。本発表では、得られた連鎖地図を用いて行った、ハクサイ抽だい性などの有用形質遺伝子座のQTL解析についても議論したい。