日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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S-RNase が関与する配偶体型自家不和合性の分子機構
*円谷 徹之高山 誠司磯貝 彰
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p. S80

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抄録
自家不和合性は、被子植物において、雌性器官である花柱と雄性器官である花粉が共に正常であるにも関わらず、自家受粉では花粉の発芽もしくは伸長が阻害され、受精が起こらない現象である。自家不和合性は、S 遺伝子座にコードされる、花粉に存在する因子と、花柱に存在する因子の相互作用によって起こると考えられている。ナス科、バラ科、ゴマノハグサ科植物は配偶体型自家不和合性を示し、その発現には花柱側因子として S-RNase が必須であることが知られている。しかしながら、S-RNase と相互作用すると予測される花粉側因子はこれまで知られていなかった。我々は、バラ科植物であるウメ (Prunus mume) より、有力な花粉側因子の候補、SLF (S-locus F-box) を見い出した。SLF は、S-RNase 遺伝子の近傍にコードされているタンパク質で、F-box モチーフを有していた。SLF 遺伝子と S-RNase 遺伝子の周辺に存在するその他の遺伝子群は、対立遺伝子間でよく保存されているのに対して、SLF 遺伝子と S-RNase 遺伝子のみが対立遺伝子間で変異に富んだ構造を有していた。発現解析の結果、SLF 転写産物は、花粉にのみ認められた。これらの結果は、SLF が花粉側因子であることを強く示唆する。現在、他の植物種の SLF についても解析を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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