日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ファンクショナルゲノミクスの新技法Fox Hunting System:次世代型アクチベーションタギング法
*市川 尚斉中澤 美紀川島 美香飯泉 治子関 原明藤田 美紀篠崎 一雄松井 南
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p. 043

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抄録
優性突然変異を引き起こすアクチベーションタギングは、遺伝子破壊型のタギング法では表現型が現れない遺伝子群の機能解析に欠かせないテクニックである。本研究では次世代型アクチベーションタギング法を構築するため、以下の2点の特徴を導入した新システムを作製した。1、遺伝子破壊型タギングのように1つのタグ(T-DNA)の導入に対して1遺伝子が候補遺伝子として対応する。2、シロイヌナズナ以外の有用生物の遺伝子機能解析にも利用できる。これらの目的のもと、約1万種の独立シロイヌナズナ完全長cDNAからなる標準化cDNAライブラリーを、アグロバクテリアの発現ベクター上で作成した。このバクテリアライブラリーをシロイヌナズナに花感染させ、約1200ラインの独立した形質転換植物を作成した。形態形成や色素合成など肉眼で容易に確認できる表現型が現れたT1植物93ラインのうち43ラインのcDNAを解析したところ、全ての植物ゲノム中で、別々の完全長cDNA挿入されていた。このラインに挿入された106個の完全長cDNAの長さは、最小で0,3 kb、最大で4,2 kb、平均鎖長は1,4 kbであった。我々はこのような完全長cDNAアグロライブラリーを用いた新たな遺伝子機能解析法をFox Hunting System (full-length cDNA over-expressor gene hunting system)と呼び、シロイヌナズナの遺伝子のみならず有用生物遺伝子のファンクショナルゲノミクスのための新技術として確立させるための準備をしている。
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© 2004 日本植物生理学会
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