日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120における低温応答遺伝子の網羅的解析
*得平 茂樹大森 正之佐藤 直樹
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p. 361

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抄録
生物は生育温度の低下に応答し、適応する能力を持っている。その過程で、低温への適応に必要な様々な遺伝子の発現が誘導され、低温への耐性を獲得する。しかし、その発現調節機構の全容はいまだ明らかとなっていない。光合成生物においては、光照射下での低温へのシフトは、生育温度の低下であると同時に相対的な光強度の増加として働き、光化学系の酸化還元状態に影響を及ぼす。このような複合的な影響が、低温への応答機構の解明を複雑なものとしている。今回、シアノバクテリアAnabaena PCC 7120における低温シフトによる遺伝子発現の変化を、光照射下と暗所で解析し、光の有無に関わらず低温により発現が調節される遺伝子を同定した。
 マイクロアレイ解析は、光照射下での低温シフト、暗所へのシフト、そして暗所での低温シフトの3条件で行った。その結果、光照射下での低温シフトにより発現量が変化する遺伝子は、大きく4グループに分けられた。(1)いずれの環境変化にも応答するもの、(2)光の有無に関わらず、低温に応答するもの、(3)光照射下でのみ低温に応答するもの、そして(4)光照射下で低温にすることで発現量が変化するが、温度に関わらず暗所への移行においてその逆の変化を示すものである。グループ2に含まれるORFに関してさらに解析を行い、光の有無に関わらず低温により転写産物量が増加するORFを15個同定した。
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© 2004 日本植物生理学会
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