日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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過敏感細胞死の過程で誘導されるカスパーゼ様活性と液胞プロセシング酵素
*初谷 紀幸黒柳 美和山田 健志飯 哲夫西村 いくこ西村 幹夫
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p. 461

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抄録
植物は病原体の侵入に対して細胞死を伴う過敏感反応を誘導する。この過敏感細胞死は遺伝的にプログラムされた細胞死である。動物のプログラム細胞死の実行過程にはカスパーゼと呼ばれるシステインプロテアーゼによるプロセシング機構が関与している。これまでに過敏感細胞死の過程でカスパーゼ様活性が検出されているが、その実体は明らかにされていない。我々は、液胞タンパク質の活性化に関わるシステインプロテアーゼである液胞プロセシング酵素(VPE)がカスパーゼ-1の機能ホモログであることを先に報告した。今回、過敏感細胞死の過程におけるカスパーゼ様活性の実体を明らかにする目的で、TMV感染で誘導されるタバコVPEに着目して実験を行った。タバコにおいてTMV感染に伴いカスパーゼ-1様活性の一過的な上昇が認められ、カスパーゼ-1阻害剤により過敏感細胞死は抑制された。ビオチン標識したカスパーゼ阻害剤を浸潤させた感染葉から38-, 40-kDaのタンパク質を検出することに成功した。この両タンパク質はVPE抗体を用いたイムノブロットでも検出された。この結果は38-, 40-kDのタンパク質はVPEであり、過敏感細胞死の過程で誘導されるカスパーゼ-1様活性の実体がVPEであることを示している。VPE阻害剤によっても過敏感細胞死は抑えられた。これらの結果は過敏感細胞死の過程でカスパーゼ-1様活性をもつVPEが機能していることを示唆している。
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© 2004 日本植物生理学会
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