日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ジベレリンを介した環境依存的な発芽制御メカニズム
*山口 信次郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S091

詳細
抄録
発芽は、種子が外界の適正な環境に応答して活発な生命活動を開始する生理現象であり、その調節にはいくつかの植物ホルモンが重要な役割を果たす。ジベレリン(GA)は種子発芽に促進的に働き、その生合成量が減少したシロイヌナズナの突然変異体は発芽能が低下する。我々の研究グループは,GAを介した種子発芽誘導メカニズムの解明を目指した研究を行ない、シロイヌナズナにおいて種子発芽を決定する重要な環境因子である光と温度によって,GA生合成経路が厳密に調節されることを明らかにした. 例えば,GAの活性化段階を触媒するGA3位酸化酵素をコードするAtGA3ox1遺伝子は,フィトクロムを介して光可逆的に制御されると同時に、発芽に促進的に働く低温処理によって顕著な誘導を受ける。また、AtGA3oxの転写産物は種子中の特異的な細胞種に集中的に発現するが、その空間的な分布は種子のおかれた光・温度条件により変化する可能性が示された。一方、マイクロアレイ法を用いてGA応答性遺伝子群の同定・発現解析を行なったところ、GAに対する種子の応答は環境依存的に質的に変化することが示唆された。以上の結果は、種子が周囲の状況を把握し発芽を決定する過程で、GAを介した発芽誘導プログラムの制御が重要であることを示している。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top