日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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IAAホメオスタシスの解明を目指した化学的ノックアウト
―IAA-アミノ酸複合体の加水分解に関わるamidohydrolaseの阻害剤の合成―
久保田 恭広*平竹 潤水谷 正治清水 文一坂田 完三
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p. 734

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抄録
IAA-アミノ酸複合体(IAA-aa)の合成と分解はIAAのホメオスタシスにおいて重要な役割を担っていると考えられる。そこで我々はIAA-aaの加水分解をブロックすることがIAA-aaホメオスタシス解明の足掛かりとなると考え、IAA-aaの加水分解反応に関わるamidohydrolaseを化学的にノックアウトできる阻害剤を設計・合成することを目的とした。IAA-aaのamidohydrolaseとして現在までにILR1をはじめとする4つの酵素が報告されている。これらの酵素は20種類のIAA-aaに対してそれぞれ異なった基質特異性を有しており、また、Mn2+の存在下で最も高い活性を示すことからメタロプロテアーゼの一種であることが示唆されている。そこで、メタロプロテアーゼが触媒する加水分解の反応機構をもとに、インドール核と、種々のアミノ酸側鎖に相当する構造を含む阻害剤を5種類合成した。これらの阻害剤は、酵素の基質特異性に応じてそれぞれのアミノ酸に特異的なamidohydrolaseを選択的に阻害できると考えられ、IAAホメオスタシス解明に有用な化学プローブになることが期待される。今回、大腸菌で発現させたIAA-aa amidohydrolaseに対して阻害剤の活性試験を行ったところ、阻害活性が見られたのでその詳細を報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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