抄録
葉緑体におけるタンパク質移行に関して,輸送タンパク質の全貌や,分化や環境応答における輸送制御機構など,まだまだ解明すべき課題は多い。そのため制御機構の再構築を目指したゲノムワイドな試験管内葉緑体移行タンパク質解析系が望まれている。我々の研究室では、二週間以上活性が保持され、タンパク質の網羅的発現が可能な高効率コムギ胚芽タンパク質合成系の開発を行ってきた。翻訳は生細胞の全エネルギーの半分以上を消費する反応であるため,我々の系は非常に安定な細胞質環境を再構築している可能性を考えた。本研究ではコムギ無細胞タンパク質合成系と単離葉緑体を組み合せた無細胞葉緑体移行タンパク質解析システムの確立を目指して研究を行った。RAFLクローンよりChloroPを用い96遺伝子を選抜し、PCRにより転写鋳型を構築した。転写後、コムギ無細胞系により、14C-Leuを含むタンパク質を合成し、単離エンドウ葉緑体を用いて移行実験を行った。その結果、タンパク質合成が確認出来た42種類中22種類について葉緑体移行を検出した。コムギ無細胞系を用いた場合、transit peptide(TP)がリン酸化され、そのリン酸化部位と14-3-3タンパク質との相互作用に関する報告を受け、現在、葉緑体移行実験を行った42種類のタンパク質のTPのリン酸化,14-3-3との結合等の解析を進めている。