日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナHsfA2による遺伝子発現制御機構の解析
*吉田 絵梨子西澤 彩子藪田 行哲重岡 成
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p. 266

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抄録
これまでに我々はシロイヌナズナより、強光に対して迅速に応答する熱ショック転写因子(HsfA2)を同定した。HsfA2は強光以外にも種々のストレスに応答することから、これらのストレス応答のシグナル伝達経路で機能することが示唆された。さらに、HsfA2過剰発現体(35S:HsfA2)を用いたマイクロアレイ解析によりHsfA2標的遺伝子を同定したところ、いくつかのHSPやストレス防御遺伝子などがHsfA2により制御されていることが明らかとなった。そこで、ストレス条件下におけるHsfA2を介した遺伝子発現制御機構を詳細に解析することを試みた。
いくつかのHsfA2標的遺伝子について強光およびH2O2処理に対する応答を解析したところ、全ての遺伝子がHsfA2と同様に応答することが明らかとなった。そこで、35S:HsfA2で最も高度に誘導されていたHSP18.1-CIのプロモーター領域を用いてHsfA2の認識配列を同定したところ、HsfA2はHSEを認識していることが明らかとなった。さらに、HsfA2欠損株(KO-HsfA2)を用いてHsfA2標的遺伝子の強光応答性を解析した結果、野生株に比べ応答が遅延することが示された。また35S:HsfA2は、厳しい酸化ストレス条件に対して、野生株およびKO-HsfA2よりも耐性を示した。以上のことから、HsfA2は強光ストレス応答において重要な制御因子であることが明らかになった。
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© 2006 日本植物生理学会
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