日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉の向背のアイデンティティーの決定に関わる #1-63 突然変異体の解析
*豊倉 浩一渡辺 恵郎松本 任孝岡田 清孝
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p. 379

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抄録
シロイヌナズナの葉では向軸側(表側)と背軸側(裏側)とで細胞の形態や、気孔やトライコームの数が異なっていることが知られている。近年、いくつかの遺伝子が向軸側・背軸側の形成に関わることが明らかにされてきた。これらの遺伝子は葉を含む側生器官において向軸側もしくは背軸側に特異的に発現しており、それぞれの発現領域で細胞分化を促していると考えられている。向軸側や背軸側特異的な遺伝子の発現から、これらの遺伝子の発現に先立って、向背という極性が形成されていることが示唆される。しかし、この極性がどのような機構で形成されるかは分かっていない。
我々は向背の極性形成機構を明らかにするために、向軸側や背軸側特異的に発現している遺伝子の発現制御に関わっている新規の遺伝子を単離することを試みている。背軸側特異的に GFP を発現する FILp::GFP 形質転換植物を変異原処理して、GFP の発現様式が異常になる突然変異体を選抜した。得られた #1-63 突然変異体では GFP の発現が背軸側だけではなく向軸側でも検出できた。このことから、#1-63 は向軸側が背軸側化した突然変異体であると考えられた。#1-63 における 向軸側マーカーの発現様式の解析、#1-63の詳細な表現型の解析、及び、原因遺伝子のクローニングの途中経過についても合わせて報告したい。
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© 2006 日本植物生理学会
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