抄録
インゲンマメ種子での貯蔵タンパク質分解に関わるプロテアーゼEP-C1の遺伝子発現には、 発芽時に合成されるジベレリン(GA)が関与している。GAのシグナル伝達にはDELLAタンパク質と名づけられたGA応答遺伝子の発現を抑制する転写因子が関与していることが知られている。DELLAタンパク質の分解はGAによって誘導され、その分解によりGA応答遺伝子が活性化される。EP-C1遺伝子発現のGA応答機構を明らかにするために2種類のDELLAタンパク質のcDNAをインゲンマメよりクローニングした。これらのcDNAのコードする遺伝子をPvGAI1およびPvGAI2と名づけた。発芽子葉中では、PvGAI2が強く発現しているので、その発現パターンをRNAブロット法で調べた。そのmRNAは乾燥種子ではほとんど検出されなかったが、吸水後1日目より検出され、その量は3日目まで増加した。一方、EP-C1 mRNAは3日目から出現した。したがって、吸水後に合成されたGAによってPvGAI2が分解されることで、EP-C1遺伝子の発現が制御されていると考えられた