日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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mALSベクターカセットを用いたRIP遺伝子導入イネの作出と病害抵抗性評価
*青木 秀之山元 剛森 浩一松村 葉子平八重 一之矢頭 治
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p. 765

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抄録
いもち病及び白葉枯病はイネの主要病害であり,収量,品質に深刻な損害をもたらす.我々は以前,松cab1プロモーターを用いたライムギリボソーム不活性化タンパク質(RIP)遺伝子をイネに導入することで,いもち病に抵抗性のある組換え体を作出した.本報ではイネ由来のプロモーター,ターミネーターを使用し,本研究所が開発した選抜マーカー遺伝子の可食部での発現を抑制するmALSベクターカセット(pTA)を用いた耐病性組換え体を作出した.pTAベクターにライムギRIP遺伝子をイネ由来の緑色組織発現型E0082プロモーター,P10ターミネーターと連結させ,アグロバクテリウム法で良食味品種「どんとこい」に導入し,約100個体の組換え個体を作出した.組換え個体にいもち病菌(レース007)を噴霧接種し,病斑の発生が少なかった個体を一次選抜した.選抜した個体から採種したT1種子を播種し,4.5葉期まで生育した幼苗にいもち病菌を噴霧接種して再度耐病性検定を行った.この結果,組換え体の中にいもち病の進行が遅延する個体が見つかった.さらに成苗のT1個体に対して白葉枯病(レースIIIA)のせん葉接種を行った結果,いもち病に抵抗性のある個体の多くが白葉枯病にも抵抗性を持っていた.以上の結果からmALSベクターカセットを用いてもRIP遺伝子を導入した耐病性イネ系統を作出できることが分かった.
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© 2006 日本植物生理学会
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