抄録
シロイヌナズナにおける乾燥応答性遺伝子として単離されたRD20は、乾燥、高塩濃度、ABA処理などにより非常に強い発現応答性を示し、RD26 (NAC)やAREB1 (bZIP) など多くのストレス応答性転写因子の標的遺伝子としても同定されている。プロモーター解析の結果、RD20はストレスに応答して植物体全体で高発現すること、また、通常の生育条件下では花および鞘で強く発現することが明らかとなった。さらに、RD20のABA応答には、RD20プロモーター上のABRE配列を含む領域が必要であるが、乾燥ストレス応答には、さらに上流に存在する未知のシス配列が必要であることが示唆された。
RD20タンパク質はカルシウム結合ドメインであるEF-handモチーフを有しており、これまでにそのカルシウム結合性が報告されている。本研究では、RD20の詳細な機能解析を目的として、GFPおよびその誘導体との融合タンパクを用いた細胞内局在観察を行った結果、RD20は細胞質内の顆粒状構造に局在することを明らかにした。この構造物には、オイルボディを構成するオレオシンタンパク質が共局在することから、RD20はオイルボディに局在する可能性が示唆された。さらに、RD20 の過剰発現植物およびRNAiによる発現抑制植物体を作製した。各植物の表現型を報告すると共に、乾燥ストレスに応答における RD20 の機能について議論する。