抄録
耐塩性遺伝子コリンオキシダーゼを導入したユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)について、閉鎖系温室、特定網室での生育試験を行い、生物多様性環境影響評価を実施した。CaMV35Sプロモーターで制御したcodA遺伝子をMATベクターに組込み、マーカーフリー形質転換ユーカリを作出した。200mM NaCl含有培地で良好に生育して発根した3系統を材料として、閉鎖系温室と特定網室で生育試験を行った。また、導入遺伝子の存在状態、遺伝子発現の調査およびアレロパシー物質産生試験やレタス種子の発芽試験によるバイオアッセイなどの生物多様性環境影響評価を実施した。それら結果では、形質転換体と非形質転換体の間に顕著な差異は認められなかった。一方、特定網室で通常通り潅水し、16ヶ月間生育させた形質転換体と非形質転換体に対して、200mM NaCl溶液を20日間1日置きに各植物体に与えたところ、形質転換体では顕著な影響は見られなかったが、非形質転換体では著しく葉が乾燥萎縮し、形質転換体における耐塩性が安定して発揮されていることが認められた。これらの結果を踏まえ、次段階である隔離ほ場での生育評価試験を実施するための実験申請書を2005年3月に文部科学省に提出し、10月に大臣承認を得た。現在、隔離ほ場で耐塩性ユーカリ3系統各5本を生育させている。