抄録
「藻類」は,酸素発生型の光合成を行う生物から陸上植物を除いたものと定義される.これが示すように,「藻類」は原核生物、植物、原生生物など広範な生物がもつ遺伝的要素を含んでおり,生息域も多様であり,きわめて多彩な生物的機能が期待される生物群である.藻類を用いた研究には,多くの場合,培養株が必要だが,そのためには専門化集団による体系的な収集,保存,および提供体制を構築し,研究開発を行う研究者が,研究材料となる培養株に容易にアクセスできる体制の整備が必要である.ナショナルバイオリソースプロジェクト「藻類」では,国立環境研究所が中核拠点となり,神戸大学, 筑波大学,国立科学博物館,東京大学,北海道大学の5機関がサブ機関として協力し, 日本の中核機関として藻類資源の保存と提供を行っている.本プロジェクトでは,1)各機関がそれぞれの専門性を生かした収集を行い,それらの培養株を微細藻類については中核機関である国立環境研究所微生物系統保存施設に,大型海藻はサブ機関である神戸大学内海域環境教育研究センターに集約保存し,長期保存法を開発することによって,安定供給できる体制を作ること,2)各機関に分散する培養株情報を情報中核機関をとおして一元的に発信し,研究者が培養株情報を利用しやすい体制を整備することを目的としている.本演題では,実施体制や保存株の紹介を行う.