抄録
光化学系 I(系I)は系IIと同様に数多くのサブユニットとコファクターを結合する超分子複合体である。集光性クロロフィルタンパクLHCIを強く結合し、光条件に依存してLHCIIも可逆的に結合すると考えられる。また、機能としてはNADP+を還元する非循環的電子伝達とATPの生成に関わる循環的電子伝達の反応を駆動し、両者の活性の調節機能も持つことが予想されている。このように系Iは構造と機能がダイナミックに変動するが、その分子機構のほとんどは未解明である。ここでは系I複合体のサブユニット構造について紹介し、それらが段階的にアセンブリーするモデルについて提案する。このアセンブリー過程は迅速に進むため、これまでにその中間体の検出が困難であったが、それをどのように克服していくかについて議論する。また、系1複合体の分子集合を介添えする分子集合装置の単離・精製について紹介する。さらに、系1複合体の構造と動態についての今後の研究についても議論を深めたい。